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シャープと鴻海の提携における両社の狙い

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シャープとfoxconn連合が、ブラジルで10万人規模の巨大組立工場を建設してやっていくことになるんですね。
まずは液晶から、という感じでしょうか。安くて良い商品がブラジルに流通するなら大歓迎です。

しかし、シャープにとっては「目的」で、foxconnにとっては「手段」というのは、また悲しい話ですね。。。
SONYがサムスンに買収される日も、いよいよそう遠くはなくなってきているのかな、と思ったりもします。。。

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■シャープと鴻海の提携における両社の狙い

 シャープは2012年3月27日、EMS(electronics manufacturing service)最大手の台湾Hon Hai Precision Industry社(鴻海精密工業、通称FOXCONN)との間で、(1)FOXCONNの董事長であるTerry Gou(郭台銘)氏によるシャープディスプレイプロダクト(SDP)への約46.5%の出資と、(2)FOXCONNグループに対する全株式の約9.9%に相当する第三者割当増資を行い、液晶パネルを中心に広範に事業提携を行う方針を発表した。FOXCONNはSDPで生産する液晶パネルや液晶モジュールを最終的に50%まで引き取ることを表明している。さらに、中小型サイズ領域を含めたパネル技術のやり取りや生産ラインに関する提携の拡大、太陽電池/発電など提携事業領域の拡大が可能性として挙げられる。

●両社のメリットは?

 今回のFOXCONNの出資を直接行動として捉えると、シャープにとっては“目的”であるのに対し、FOXCONNサイドにとってシャープとの提携拡大は“手段”であると考えられる。

 SDPの第10世代ラインは超大型パネルの生産で一定の成果を上げているが、年明け以降のライン稼働率は5割以下にとどまり、稼働率の維持に苦戦しているもようである。大規模な赤字決算が予想されるシャープにとっては、財務基盤の強化と出口の確保によるSDP運営の安定化が大きな目的となる。一方、FOXCONNにとっては、日系メーカーの技術を取り込むことが、成長を維持するための手段となる。

 FOXCONNは巨大企業であることに変わりはないが、成長スピードと採算性が低下しつつある。数年前、同社はソニーの欧米工場を買収し、大々的にテレビの製造に乗り出した。しかし、肝心の客先のテレビ事業の停滞や同社の技術力の強化が思うように進まなかったことにより、テレビの製造事業をエンジンとした成長戦略は見直しが必要になっている。さらにゲーム機やパソコンを含めた「黒物家電」を包括的にサポートする事業展開を見せているが、日系企業のコンシューマ・エレクトロニクス事業が停滞する中では、巨大企業であるFOXCONNの成長を支えるのは困難と見られる。

 テレビや黒物家電に替わり、現在のコンシューマ・エレクトロニクス産業の成長を支えるのは米Apple社の商品群となっている。FOXCONNはApple社の主要製品においても、メインサプライヤとして揺るぎないポジションを確立している。ただ、台湾Pegatron社など競合EMSが育ちつつあるのも事実であり、FOXCONNの成長基盤として、Apple社に対するFOXCONNの存在感を強固にすることが不可欠になっている。

 FOXCONNは台湾パネル・メーカーのChimei Innolux社(CMI)を系列会社として抱えるが、技術開発で先行するApple社についていくためには、さらなる先進性を持つパネル技術の確保が求められる。その点でシャープは、酸化物TFTを用いた液晶パネルの量産準備を進めるなど様々な技術において業界をリードしており、その技術力を提携関係に持つことは今後FOXCONNの存在感を維持・拡大するメリットとなる。さらに、中国に続き南米にも巨大工場を建設する計画があるFOXCONNにとって、幅広い地域の製造工場で先端技術を用いた高付加価値製品を大規模生産できることは大きな強みになる。

 また、同社がさらなる長期的な成長を見込んだ場合、コンシューマ・エレクトロニクス機器以外のビジネス領域を開拓する必要が出てくる。特に、シャープが抱える太陽電池パネルやそれを用いた発電事業などでは、投資展開に大きな資本が必要なことを考慮すると、シャープ本体に出資したFOXCONNが何らかの形で関与してくる可能性があると言えよう。

 日系企業のハードウエア産業が衰退傾向にあることから、日系デバイス・メーカーの優れた技術を国内企業が出口として有効活用するスキームが崩壊しつつある。このままハードウエア産業の復権が立ち行かない場合は、電子デバイス産業の空洞化と技術の海外移転はさらに進む可能性が高い。

 シャープとの提携を2012年3月27日に発表したEMS(electronics manufacturing service)最大手の台湾Hon Hai Precision Industry社(鴻海精密工業、通称FOXCONN)。同社はブラジルで、10万人規模の巨大組立工場を建設する計画を進めている。ブラジルでは、2014年6~7月開催のサッカーのFIFAワールドカップ(W杯)、2016年8月開催の夏季五輪、また2016年6月と目される地上波アナログ放送の停波など、大規模イベントやインフラの変化が目白押しで、さらなる経済成長が期待されている。

 人件費の高騰が続く中国への依存度を下げて、ビジネス上のリスクを低減するためにも、ブラジルでの巨大組立工場建設は同社にとって重要なプロジェクトと言える。同工場では米Apple社のモバイル機器の商品群を中心に、同地向けのテレビやモニターなども生産される見込みである。工場竣工のターゲットはワールドカップを控える2013年中と見られることから、2013年から2014年にかけての最先端製品群にどう対応していくかが、当面の焦点となる。

 誘致する側のブラジル政府は、液晶パネルの生産工場から手掛けたいもようである。一部では、台湾からの液晶パネル生産ライン移管なども噂されている。ただし、同工場の将来性を考えると、長期的に有効な技術を有したパネル工場の建設が期待されるところである。その点、IGZO(In-Ga-Zn-O)などの高解像対応技術やインセル型タッチ・パネルなどは2013年までに花開く技術と期待されており、シャープは既に国内工場でこれらの技術の試作もしくは量産準備を進めていると見られる。従って、このようなパネル技術の一部共有などが両社の提携に含まれる場合、有効な技術リソースとなり得るだろう。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120330/210463/