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ラテンの大企業を背負う世界最強の女性指導者-原動力は母の愛

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ペトロブラスの女性CEOを紹介する記事です。以前より「装甲戦闘車両」というようなあだ名も耳にはしていましたが、なんだかスゴい人のようですね^^ 今後が楽しみです。

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■ラテンの大企業を背負う世界最強の女性指導者-原動力は母の愛

  6月4日(ブルームバーグ):ブラジル石油公社(ペトロブラス)初の女性最高経営責任者(CEO)就任に際して、マリア・ダスグラサス・シルバ・フォスター氏は人生形成に大きな影響を及ぼした2つの力に感謝の意を表せずにはいられなかった。

2月13日の就任宣誓式でフォスター氏はまず、深海油田掘削で世界最大手のペトロブラスに感謝した。2つ目は自身の母への感謝だった。数十年前に母が育んでくれた勤労意欲こそ、貧しさから脱却し、自らの職業の頂点に上り詰める原動力となったからだ。ブルームバーグ・マーケッツ誌7月号が伝えた。
退任するジョゼ・セルジオ・ガブリエリCEOからペトロブラスを象徴するIDカードを渡されたフォスター氏は、「私はこのバッジと共に30年余りを一緒に過ごしてきた」と数百人の従業員に訴え掛け、さらに「母の力に感謝する」と述べた。

中南米最大の株式時価総額を持つペトロブラスのかじ取りを託されたフォスター氏(58)は技術畑出身。パンツスーツを好み、手首には2つの小さな星の入れ墨がある。ブラジルでは10年にわたる好景気で3000万人が貧困状態から脱出し、ミリオネアの富裕層が現在、10万人以上いるが、2011年の経済成長率は2.7%と、その前4年間の平均の4.6%から減速している。

●自給自足

ブラジルが経済成長に必要なエネルギーの自給自足を実現するには、ペトロブラスが頼みの綱だ。政府出資比率が51%の同社は、ブラジルの石油生産で91%、天然ガス生産で90%のシェアを持つ。

ただ、生産拡大や開発は難航している。比較的古い油田での生産減少分を沖合の新たな油井での産出で補完し切れていない。このため生産量を原油換算で現行の日量260万バレルから2020年に640万バレル引き上げる同社の目標に遅れが出ている。

ブラジルは14年のサッカーのワールドカップや16年の夏季五輪の開催に向けて空港や競技場などに多額の費用をかけているものの、ブラジルの10-15年のエネルギー・インフラ支出(約9220億レアル=約36兆円)に占めるペトロブラスの割合は約40%となる見通し。

ユーラシア・グループで中南米担当アナリストを務めるクリストファー・ガーマン氏は「石油・天然ガスはブラジル経済で一段と重要なセクターになっており、規模と輸入は伸びる一方だろう」と指摘。「ペトロブラスの生産能力は極めて重要だ」と述べた。

●適任者

投資家の間では、ペトロブラスで掘削基地や管理職などの経験を持ち、31年間のキャリアを積み上げてきた技術者のフォスター氏は同社のCEOに適任だと受け止められている。同社の株価は生産鈍化で打撃を受けていたが、同氏が初の女性CEOに指名された1月23日には3.8%上昇、8カ月で最大の値上がりを記録した。

アバディーン・アセット・マネジメント(サンパウロ)のポートフォリオマネジャー、ニック・ロビンソン氏はフォスター氏について、掘削基地で予定外の操業停止を強いるような問題にも対処できる熟練した技術管理者だと評価する。

ペトロブラスでは基地建設の遅れや保守整備のための操業停止の増加がガブリエリ前CEOの在任中から表面化し始めていた。エコノミストで学者である前CEOは日々の業務よりも企業財務を重視し、2010年9月に世界最大規模の700億ドル(現在のレートで約5兆5000億円)の増資を行った。同社株は増資以降5月31日までに29%値下がりしている。

こうした中でフォスター氏は今、ペトロブラスのボトルネック解消を推進している。5月には基地や掘削装置、パイプラインの購入と設置を監督する管理部門を新設。同部門を通じてコストの超過や建設作業の後退を食い止める考えだ。
「フォスター氏は実務者としての要素がより強い人物なので、会社にとっては非常に貴重な財産になるだろう」とロビンソン氏は指摘する。

●大統領の信頼

ブラジルのルセフ大統領もフォスター氏のファンだ。現在では共に世界最強の女性指導者の一角に数えられる同氏と大統領は、2003年から一緒に仕事をした仲だ。ルセフ氏がルラ前大統領の下でエネルギー相を務めた際、石油・天然ガス、再生可能エネルギー分野を担当したのが、リオデジャネイロ州ニテロイにあるフルミネンセ連邦大学の化学工学学位を持っていたフォスター氏だった。

05年にフォスター氏はペトロブラスに復帰した。03年-10年まで同社会長を務めたルセフ大統領は2月のイベントで、フォスター氏のニックネームを使って「グラサが指揮していれば、ペトロブラスは安泰だ」と語っている。

●装甲戦闘車

フォスター氏は同僚から「カベイラン」というニックネームを付けられている。カベイランとはブラジルの警察が犯罪多発地区に配備する装甲戦闘車両で、障害を突破していくフォスター氏の姿になぞらえて名付けられた。

同氏の母親はリオデジャネイロの貧困地域で幼いグラサ姉妹を育てた。フォスター氏が昨年、ブルームバーグ・ニュースに語ったところでは、父親はアルコール依存症だったため、母親が働き、幼いグラサはニテロイの親戚の元に一家が移り住むまで、缶や新聞を集めて小遣いを稼いでいた。

フォスター氏は1978年にフルミネンセ連邦大学を卒業。リオデジャネイロ連邦大学で原子力工学の修士号、ジェトゥリオ・バルガス財団で経営学修士号(MBA)をそれぞれ取得。79年にペトロブラスの探査・生産部門にインターン(研修生)として入社した。

フォスター氏は就任演説で今後取り組む課題の大きさを認めた。「ペトロブラスの経営を引き継ぐことは大仕事だ。私がこの日を迎えるまでに直面した課題を全て合わせたよりも大きな仕事だ」と語った。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M4X4K96KLVR401.html