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減速する新興国経済、円高の日本には企業買収のチャンスだ

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今の通貨の状況を考えると、買収のチャンスである、と。まぁ確かにそうなのかもしれませんね。とはいっても、「じゃあ買収先を探そう」というのでは遅いとは思いますが。。。^^;

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■減速する新興国経済、円高の日本には企業買収のチャンスだ

 新興国の経済が予想を上回るペースで減速している。いわゆるBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)の経済指標は軒並み悪化し、通貨の下落も止まらない。円高を背景に、日本にとっては通貨安国の企業を買収するチャンスでもある。

●インドは4四半期連続で成長率が鈍化

 中国国家統計局が6月9日に公表した5月の工業生産は、前年同月比9.6%増と2カ月連続で一桁の伸びにとどまった。中国経済の減速が鮮明になっている。

 中国を筆頭にBRICSの経済が振るわない。インドでも景気は減速している。

 インド政府が5月31日に発表した1~3月期の国内総生産(GDP)は、前年同期比5.5%増。市場予想の6%を下回り、4四半期連続で成長率が鈍化したかたちだ。昨年前半までの金融引き締めの影響で、内需が伸び悩んでいることが背景にあると見られる。

 ブラジルでは、景気のテコ入れが繰り返されている。ブラジル中央銀行は5月30日、政策金利を0.5%引き下げ、過去最低の水準となる8.5%とする方針を決定した。世界経済の減速に伴い、国内製造業の低迷も続いていることから、利下げで景気を下支えするのが狙いなのだろう。

●W杯と五輪を控え、景気浮揚が課題のブラジル

 ただ、下に示した「ブラジルの通貨(レアル)と政策金利の状況」を見ればわかるように、すでに政策金利は2011年後半から7回連続で引き下げられている。

 ブラジルはルラ前大統領(2003~2011年)の下で経済成長を続けてきた。しかし、今のルセフ大統領になってからは、経済があまりうまくいっていないため、政策金利を過去最低に下げたとしても景気は浮揚しないかもしれないと見られている。

 2014年にサッカーワールドカップの開催、2016年にリオデジャネイロ五輪の開催と、ブラジルは大きなイベントを控えている。そのため、インフラ整備などにお金がかかるので景気浮揚は喫緊の課題だ。ところが、ルセフ大統領では心許ないという苦しい状況にある。

●新興国の対外債務は欧州銀行がその多くを占める

 新興国の経済が行き詰まっているのは、ヨーロッパからの資金が引き揚げられていることも大きな原因となっている。「新興地域の対外債務に占める欧州銀行の割合」のグラフを見てもらいたい。

 これを見てもわかるように、新興国では債務の多くをヨーロッパの銀行に依存している。BRICSについては、いずれの国でも債務の半分以上がヨーロッパの銀行に対するものである。ブラジルやインドでは3分の2ほどが、ロシアと南アでは大半が対ヨーロッパ債務だ。中国の債務も半分がヨーロッパの銀行が占めている。

 ヨーロッパの銀行が新興国から資金を引き揚げている理由は、言うまでもなくギリシャやスペインなどユーロ危機の再燃である。しかし、さらにその原因を探れば資金源そのものは金利が安くなった米国の銀行であることがわかる。つまりドルキャリーである。

 金利は安いがリスクはとりたくない米国の銀行がヨーロッパの銀行に資金を貸す。それを成長が著しく、高い金利をとれる新興国に貸す。こういう玉突き現象がユーロ危機で身構えた米銀の資金引き揚げとなり、ヨーロッパの銀行もそれに応じて新興国から引き揚げざるを得なくなっている。

●ボーダレス化で経済リスクが各国に連鎖する

 ボーダレス経済の特徴は国境を越えてヒト・モノ・カネが動くことだが、そのために経済リスクを一国に閉じこめることが難しく、危機が連鎖し、経済は不安定になる。同時に、閉じられた国の中で通用した財政や金融政策がまったく効かなくなるなど、経済政策の舵取りも困難を極めるようになった。

 新興国から資金が引き揚げられた結果、下記「対ドルレートでの主な新興国通貨の騰落率」で示されるように、新興国では通貨が下落を続けている。中でも、ブラジル・レアルとインド・ルピーの下落率は大きい。

 ロシアのルーブルも下落しているが、ロシアについては原油価格の下落の影響が大きい。シェールオイルやシェールガスなどの新たな化石燃料が台頭してきたため天然ガスが安くなり、玉突き的に原油も安くなっている。資源輸出で経済成長を続けてきたロシアにとっては、天然ガスと原油が安くなってしまうと経済の先行きが鈍化する。

●ロシア・ルーブルに対して非常に強い円

 その結果、ルーブルの下落に拍車がかかっている。

 「主要通貨に対するルーブル騰落率の推移」を見ていただきたい。ルーブルはドルとユーロに対して安くなっている。さらに円に対しては、大幅に安くなっている。これは、円がユーロとドルに対して強くなっているので、2段階の効果が出ているためだ。

 このように、ユーロとドルに対してさえ安くなっているルーブルに比べると、円はめちゃくちゃ強くなっているのである。円でロシア企業を買うのなら、このルーブル安は2009年に比べて「60%の大バーゲン!」というタイミングと言える。

 5月3日には、日産・ルノーがすでに資本参加していたロシア自動車最大手のアフトワズを買収することを発表した。2014年までに買収は完了する予定で、約600億円を投じる見込みだ。実現すれば日産・ルノーとアフトワズの合計販売台数は802万台となり、トヨタ自動車グループを超えて世界第3位となるという。円・ルーブルの力関係を考えれば、まさに今が買い時なのである。

 BRICSはいずれも枕を並べて経済が低迷している。少なくとも数年前ほど絶好調ではなくなってきたということを十分警戒したうえで、それでも将来性には魅力があるということなら、日本企業はこのチャンスをうまく使う前向きの戦略を打ち出していく必要があるだろう。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120620/313208/