ブラジルニュース アペルトジマオン|ブラジル経済・ビジネス・文化・生活・サッカー・音楽・旅行等、ブラジルニュースを収集・発信

忍び寄る「自国優先主義」に歯止めを

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加




ブラジルの保護政策は『明白な保護貿易主義と断定はできない、いわば「灰色の措置」』なんだそうです。灰色なんですかね?個人的には十分「黒」な気もしますが。。。笑

—————————————————————————————————
■忍び寄る「自国優先主義」に歯止めを

 足元の経済危機に目を奪われているうちに、その陰にもっと大きな危険が潜んでいることがある。1929年に始まった世界大恐慌のときがそうだった。

 米国のウォール街で起きた株価の暴落を引き金に、不況に苦しむ世界の主要国は、保護貿易や資源確保に突き進んだ。他国との協調を忘れ、自国だけが生き残ろうとする国家のエゴが、第2次世界大戦の悲劇につながった。

●灰色の保護貿易が拡大

 危機を抱える今日の世界はどうか。国際通貨基金(IMF)は、2013年の世界経済の成長率予測を4.1%から3.9%に引き下げた。震源地の欧州が揺れ続け、世界景気がさらに減速する不安に各国はおびえている。

 日米欧の先進国では、消費が一段と冷え込みそうだ。その一方でエネルギーや鉱物、食糧などの資源は、じりじりと国際価格の上昇が続いている。そこに台頭してきたのが、自由貿易の精神に背いて国内の市場を保護したり、資源の供給で外国を差別したりする「自国優先主義」である。

 インドネシアはニッケルや銅など65品目の金属資源に、20%という法外な輸出関税をかけた。14年には精錬前の鉱石の輸出を禁止するという。ステンレスの原料であるニッケルの供給を同国に依存する日本にとり、打撃は大きい。

 アルゼンチンは、外国からの輸入に許可制を敷き、許可が要る品目を約600まで増やした。家電や二輪車、自動車など幅広い工業分野にわたり、国内メーカーを保護する意図で、政府が貿易を綿密に管理しようとしている。

 ブラジルは国内の自動車部品を優遇するために、輸入品が不利になる税制を導入した。現地で調達する部品材料を全体の65%以上にするなど、厳しい条件を満たさなければ、最終製品に30%の追加的な製品税が課される。

 中国は希少資源であるレアアースやレアメタルの国外への供給を制限している。理由として主張しているのは、国内の環境保護だ。

 いずれも明白な保護貿易主義と断定はできない、いわば「灰色の措置」である。輸入関税を引き上げて、外国の産品から国内市場を守るという旧来型の保護とは手法を異にするからだ。

 国・地域ごと品目ごとに関税率を定めた世界貿易機関(WTO)のルールは、露骨に破ることはできない。だが、関税を使わなくても、税制や環境規制、製品表示の規則、行政上の許認可手続きなどを巧みに利用すれば、同じ目的を達することはできる。

 こうした新タイプの摩擦はWTOに提訴しても、直ちには結論が出ない。紛争処理パネルで白黒を争う間にも、ルールの網を抜けた新たな灰色措置が、新興国を中心に増えるばかりだ。関税に重点を置く現行のWTO協定では、事実上の保護主義の拡大を防げなくなっているのが現実である。

 リーマン・ショック以来、各国の政治指導者は、主要国(G8)や20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)などの場で、保護主義の台頭を防ぐ意志を何度も表明してきた。それが掛け声倒れとなり、灰色措置に一向に歯止めがかからないのは、不況の不安に駆られる中で、日米欧など先進国までが自国優先主義の誘惑に負けているからではないか。

●問われる日本の提案力

 日本は農業分野で保護主義の代表格として世界から批判を浴びている。欧州連合(EU)や米国、カナダにも政府調達、反ダンピング措置、再生エネルギーの固定価格買い取り制度などで、排他的な政策が散見される。

 自分の痛い所を突かれないために、お互いに問題点を見て見ぬふりをする生ぬるい空気が、主要国間に広がっているのが心配だ。交渉力が弱い新興国や小国にだけ厳しく、自らを律する仕事を怠るのでは、あまりにも無責任である。

 このままでは、自由貿易の価値観が衰えていく恐れがある。WTO協定の弱点を補う新しい通商ルールを早急に築かなければならない。多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)が暗礁に乗り上げた以上、環太平洋経済連携協定(TPP)や日中韓の自由貿易協定(FTA)などの交渉を通して、新しい秩序づくりに果敢に挑むべきだ。

 いま世界は自由貿易を守れるかどうかの大きな分かれ道に立っている。その危機感を持つべきだ。通商大国である日本が果たすべき責任は重い。既にあるWTOルールを金科玉条として頼りにするだけでなく、日本から世界に向けて貿易・投資の新ルールを提案する構想力、発信力が問われている。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO44031850T20C12A7PE8000/