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ブラジル:正念場迎えたルセフ大統領

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まぁホント色々な課題が絡み合っているブラジルの現状ですが、なんとかキレイに整理して解決に向かって欲しいものですね。正念場とされているジウマ大統領に期待したいところですが、どうでしょうか…

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■ブラジル:正念場迎えたルセフ大統領

大統領は「ブラジルコスト」の問題に取り組むために、もっと尽力する必要がある。

経済史家のウォーレン・ディーンは1世紀前のブラジルについて書き、同国の対外貿易は「圧倒的な比較優位が生産および商業化のコスト高や高い国内税を相殺できるコモディティー(商品)に限られてきたようだ」と指摘し、政府も民間セクターも「競争力を軽視してきた」と付け加えた。

●行き詰まったブラジル経済

 こうした言葉は不気味なほど、近年のブラジルに当てはまるように思える。過去10年間の大半を通じて、ブラジルは高成長に沸いてきた。

 ブラジルの鉄鉱石や大豆、石油に対する中国の需要が増えたうえ、賃金が上昇し、融資を得られるようになったことで何千万ものブラジル人の購買力が高まったからだ。ところが、ここへ来てブラジル経済は行き詰まってしまった。

 金利を引き下げ、過大評価された自国通貨を安値誘導するために為替介入し、特別待遇の産業に減税と低利融資を与えてきた当局者らは、来年は国内総生産(GDP)が4.5%拡大すると主張している。2008年に世界経済が大きく傾いた時には、ブラジル政府は需要を刺激し、迅速な景気回復を実現した。

 だが現在は、そうした政策の効果が薄れているようだ。世界経済の暗さや、他国の消費者と同様にブラジルの消費者が借金を返済していることがその一因となっている。しかし、ブラジルが投資先や生産拠点として極めて割高な場所になってしまったという厳しい現実も影響している。

●投資先や生産拠点として割高な「ブラジルコスト」

 ルノー・日産自動車連合のトップ、カルロス・ゴーン氏は、ブラジルで鉄を買うよりも、ブラジル産の鉄鉱石を用いて韓国で作られた鉄を輸入した方が安いと不満を漏らす。

 その背景には数多くの原因が存在する。ブラジルでは、生産性の低さなどお構いなしに、賃金が上昇してきた。そのうえ、お粗末なインフラが企業のコストを増大させている。

 だが、果てしなく膨れ上がった政府にも責任の一端がある。税金はGDPのおよそ36%を占め、欧州並みの割合に上っている。しかし、ブラジル人が税金の見返りに受ける公共サービスは、欧州とはまるで違い、国民の半数近くは家に下水設備がない。公共投資は増えたとはいえ、まだ微々たるものだ。

 税収の過度な割合が、政府の関係者に食いつぶされている。元労働組合代表で、2003年から2010年にかけて大統領を務めたルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ氏の下では、インフレ率が50%に満たなかったが、公的部門の賃金総額は名目ベースで2倍以上に膨れ上がった。

 ルラ前大統領はさらに、インフレ率を大きく上回るペースで最低賃金と年金を引き上げた。

●増税路線を終わらせ、投資を増やせ

 ブラジルがまともなペースで成長を続けるためには、政策の重点を需要拡大路線から高い供給コストを抑制する方向にシフトさせる必要があるということは、しばらく前からはっきりしていた。

 ルラ氏の後継者であるジルマ・ルセフ大統領も、変革の必要性を認識しているようだ。

 しかし、これまでのところ、コストを引き下げるためのルセフ大統領の取り組みは、主に通貨と金利を引き下げることに集中してきた。こうした政策は今のところ、一部の関係者が懸念したような急激なインフレ昂進を招いていないが、依然として大きな賭けだ。

 政府は4つの空港の改修工事の契約を入札にかけたが、条件があまりに厳しいため、改修作業は長引くかもしれない。

 現在、ルセフ大統領がより大胆な政策を講じようとする兆しもうかがえる。大統領は8月15日に、道路や鉄道への投資に民間業者を呼び込むと発表した。政府が望み通りに660億ドルの投資を呼び込むためには、それなりの投資収益を与える必要があるだろう。政府としては、港や空港などへの幅広い民間投資につなげたい考えだ。

 現在は料金を倍増させている電力の課税率を引き下げ、昨年ごく一部の選ばれた産業だけに認めた給与税減額を全産業に適応することも検討されている。財政赤字を膨らませることなくそれを実現するためには、ルセフ大統領は公共支出の増加も食い止めなくてはならない。

 これは口で言うほど簡単なことではない。連邦予算の大半は、政府の下層組織や年金に振り向けられる。ルセフ大統領は、大半の労働者が50代前半から年金を受け取ることのできる馬鹿げた定年制度を廃止すべきだ。だが、それには時間がかかる。

 短期的には、人件費――連邦政府に多くの自由裁量権が委ねられている数少ない予算項目の1つ――を抑制することが極めて重要だ。このため大統領は、ストライキを行う公務員の法外な賃金要求に抵抗し続けなければならない。

●政権の行方を左右する決断

 大統領が今月下す決断は、ルセフ政権がどこに向かうのかを示す重大な指標となるだろう。ルセフ大統領率いる労働党は支持の大半を公的部門の労組から得ている。だが、公金の乱用を容認したとされる閣僚数人を解任するという断固たる行動のおかげで、大統領自身はもっと幅広い支持を得ている。

 ブラジリアの強欲な巨大組織を撃退して、経済成長ならびにブラジル企業の競争力を回復させることは、大統領が2期目を勝ち取り、また、ブラジル経済が繰り返し1世紀前と同じ間違いを犯すことがないようにする最善の方法だ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35946