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高コスト体質のブラジルに残る ハイパーインフレの「残像」

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日系企業の東京本社の方には、ちゃんと知っておいて欲しいですね、「東京の本社で働いている社員よりも、現地で採用したローカルの社員のサラリーのほうが高いという逆転現象すら起きている」と。

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■高コスト体質のブラジルに残る ハイパーインフレの「残像」

 ブラジルのリオデジャネイロに行った。季節は真冬だが、寒くはない。ビジネス街から車で15~20分程度のコパカバーナ海岸では水着姿の人が多く歩いている。

「寿司は、揚げたてのホット・フィラデルフィアがいい」とある人が奇妙なことを言うので、人気の寿司屋に行ってみた。鮭が入った巻き物を揚げたものだった。それはそれとして、その店の煮物は素晴らしくおいしかった。街の人々の対日感情はとてもよく、隣のテーブルにいたブラジル人(白人)の婦人3人組は、封切り直後の映画「汚れた心」を見てきたところだと興奮気味に話していた。第2次大戦後のブラジルでの日系社会内の対立を描いた映画だ。

 今年のブラジル経済は政府が予想する+2.5%成長には届かない可能性が高いものの、長期的な見方になると、ポジティブな声は多く聞かれる。人口動態的に人口ボーナスはもうしばらく続き、購買力を持った中間層は増加していく。また天然資源も豊富である。

 ただし、ブラジル経済は高コスト体質との折り合いをどうつけていくかという課題を抱えている。政府は、国内の雇用を守るために保護主義的な戦略を取っており、輸入品に対する税金は驚くほど高い。また、貧困対策として大幅な最低賃金の引き上げが毎年行われてきた(今年は14%)。中所得以上の人々はそれに連動しないが、労使交渉の参考値にはなる。先進国に比べれば大きな賃上げが毎年行われてきたため、ブラジルに進出している日本企業の場合、東京の本社で働いている社員よりも、サンパウロやリオデジャネイロで採用したローカルの社員のサラリーのほうが高いという逆転現象すら起きている。

 ところで、ブラジルの人々には、給料日に食品や生活用品をまとめ買いするという習慣がまだ残っている。ハイパーインフレの「残像」がまだあるからである。年間平均インフレ率は1981~94年は100%を超えていた(ピークは90年の2948%)。当時はみるみる通貨価値が下落したので、給料をもらったら一刻も早く生活物資を買い入れる必要があった。

 最近は、その記憶を強く持っていない若い世代も徐々に増えている。金融市場にもそれが表れてきた。レアルの短期金利先物市場の動きを見ると、先物トレーダーは、エコノミストよりもブラジル中央銀行の利下げを積極的に織り込む傾向が見られる。トレーダーはエコノミストよりも平均年齢が低い。「過度な金融緩和はインフレを高める」という警戒心が、若い世代は強くないことが影響しているという。

(東短リサーチ取締役 加藤 出)

http://diamond.jp/articles/-/23928