ブラジルニュース アペルトジマオン|ブラジル経済・ビジネス・文化・生活・サッカー・音楽・旅行等、ブラジルニュースを収集・発信

ブラジル経済最悪期は脱出も浮揚せず、レアル独歩高はない=第一生命経済研究所・西濱氏

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加




「景気の最悪期は過ぎたものの、一気に浮揚はしないだろう」とのことですね。ブラジルコストの影響も指摘されていますが、少なくとも今しばらくは耐える時期かもしれませんね。

—————————————————————————————————
■ブラジル経済最悪期は脱出も浮揚せず、レアル独歩高はない=第一生命経済研究所・西濱氏

 南米の経済大国ブラジルが出口の見えない景気低迷に陥っている。積極的な財政・金融政策にもかかわらず経済が回復局面に向かわないのはなぜか。現地時間29日に政策金利、31日に4-6月期GDP(国内総生産)の発表と重要イベントを控えるなか、新興国経済に精通した第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミストの西濱徹氏にブラジル経済の現状と見通し、ブラジルの通貨レアルの動向を聞いた。

 ――ブラジルの景気が低迷しているが、原因は何か。
 「ブラジルは内需がけん引役となり、その内需を支えていたのが銀行の与信(資金の貸し出し)だった。しかし、同国では南欧系、特にスペインの銀行が非常に重要な役割を果たしてきたが、欧州債務問題の影響で南欧系銀行による与信が縮小。ブラジル中央銀行が金融緩和を行っても銀行による貸し出し余力が低下しているため、うまくお金が回らず内需が伸びていない。また、EU(欧州連合)は米国とならんでブラジルにとっての最大の輸出先であり、またブラジルがEUからの投資の受け皿となっていることもあり、欧州危機の影響は大きい」

 「一方、近年は石炭や鉄鉱石への需要が非常に高まったことで、中国への輸出が増え、ブラジルが工業国から資源国にカジを切りすぎた格好だ。資源依存度が高まったことで、資源価格の動向に揺さぶられる傾向が強まっており、中国の景気がかなり影響している。工業の面では日本と同様、通貨高に悩まされている」

 ――景気悪化はまだ続くか。
 「景気は4-6月または7-9月期が底で、最悪期は過ぎたとみている。ただ、今後景気は一気に浮揚しないだろう。欧州信用不安の影響による国際金融市場の動揺がなかなか収まらないなか、リスクを取ってブラジルに投資する流れになるかは疑問が残る。ブラジルは海外投資に対する資本規制に動くなど日和見的な面もあり、安心して投資できる先とは思われていない。リーマン・ショック後の09年末から10年前半のような急速な回復は見込みにくい」

 「ブラジルで開催される14年のサッカーワールドカップや16年のリオデジャネイロ五輪に期待する向きもある。しかし、こうしたイベントが成長につながったのは1人当たりGDP(国内総生産)が低く、これから中進国になるかどうかといった段階の国だが、ブラジルは1人当たりGDPが高くすでに中進国だ。成長のために必要なことは構造改革であり、それをせずに投資だけ行えばバブルを生んで終わる恐れもある。過去5-6%の高成長を遂げたのは外部環境が良かっただけということになりかねない」

 「構造改革の対象となるのは例えば労働法制で、ブラジルでは一度雇用すると解雇しにくく、労働市場の非流動性につながっている。また、ブラジルへの輸出に関して事細かく税金がかかったり、通関の手続きが非常に面倒だったりと官僚主義的で、こうした『ブラジルコスト』と呼ばれるものをどのように解決していくかが重要となる」

 「ブラジルは経常赤字を抱えているので、中・長期的な視点で外からいかにお金を持ってくるかが課題だが、あまりうまくいっていない。日本企業は商社が進出しているものの、手掛けるのは資源にとどまっており、そのほかも自動車メーカー数社を除けば広範な動きは見られていない」

 ――28-29日にはブラジル中銀が金融政策決定会合を開く。
 「利下げは間違いない。ただ、中銀は前回会合の議事録やその後の記者会見で、今後はこれまでのような大幅な利下げはないとの姿勢を示しており、利下げ局面の終了が近いとみる。インフレ率は底が見えており、金融政策のさじ加減で対処するのは難しくなっている。政策金利を据え置き、いったん景気を見極める段階に入るのではないか」

 ――レアルの動向についてはどうみるか。
 「ブラジル政府または中銀はレアルの大きな変動を望んでいない。当局にとって1ドル=2レアルが望ましい水準と思われ、ここから大きくカイ離することはないだろう。レアル安を望む産業界からのロビー活動もあり、一辺倒のレアル高に当局は警戒感を示すはずで、独歩高は見込みにくい。同じ高金利通貨の投資対象としては、為替介入のリスクがあるレアルのような通貨ではなく、こうしたリスクが少ない豪ドルやNZドル、南アフリカランドなどが注目される」
(坂本浩明)

http://www.emeye.jp/disp%2FBRA%2F2012%2F0828%2Fstockname_0828_018%2F0%2F1/