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食資源の利用効率を追求 味の素の「バイオサイクル」

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つい最近、味の素は日本企業だと言っても信じてくれず「ブラジル企業だ」と言い張っていたブラジル人がいますが(笑)、味の素のブラジルでの取り組み、素敵ですね。循環ループ、バイオサイクル。味の素社にとっても世界最大規模の工場だそうで、なんだか誇らしく思います^^

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■食資源の利用効率を追求 味の素の「バイオサイクル」

味の素はうまみ調味料などを生産するブラジルの戦略工場を公開した。「バイオサイクル」と呼ばれる資源循環型の生産方式の実際に迫った。

 ブラジルのサンパウロ州。サトウキビ畑が広がる大地の一角に、ブラジル味の素社のラランジャル・パウリスタ工場が姿を現した。112haの広大な敷地に足を踏み入れると、砂糖の甘い香りが辺りに漂い、白い蒸気がいく筋も上がっているのが見える。ここは、うまみ調味料「味の素」(主成分:グルタミン酸ナトリウム)の専用工場。年間生産能力は8万5000tと、同社にとって世界最大規模の工場である。

●サトウキビの搾りかすも活用

 ここで同社が取り組んでいるのが、「バイオサイクル」と呼ばれる資源循環型の生産方式だ。同社の生産の根幹をなす重要な手法だ。

 うまみ調味料などのアミノ酸製品は、サトウキビなどの穀物を発酵させて作る。同社は、サトウキビ生産量が世界1位のブラジルで、地元の製糖工場からサトウキビの搾り汁を購入し、それを発酵させて製品を生産してきた。

 その際、生産工程で出た残さを廃棄するのではなく、副生物として家畜の飼料にしたり、有機肥料としてサトウキビ畑に戻すなど有効活用を進めてきた。サトウキビからスタートし、サトウキビ畑に副生物を還元する循環ループを描いていることから、バイオサイクルと呼ぶ。資源を無駄にせず有効活用し、廃棄物を減らし、生産工程で出るCO2を削減するなど環境に配慮した生産方式だといえる。

 同社はブラジルに工場進出した1977年からこのバイオサイクルを進めてきたが、ラランジャル・パウリスタ工場ではバイオサイクルを一層追求し、資源効率をさらに高める新しい試みを今年5月から始めた。

 農家からサトウキビを直接購入し、自前の設備で搾り汁を取り出してアミノ酸生産工程に回す一方で、搾りかすを燃料として利用する試みを始めたのだ。こうすることで、これまでなら製糖工場から出ていた搾りかすの残さも資源として有効活用できるようになった。

 そのために、工場内にバイオマスボイラーを導入し、稼働させた。自前の設備でサトウキビを4回搾り、搾りかす(バガス)にした後、近隣の製材工場から購入した木くずと混ぜてバイオマスボイラーで燃焼する。ボイラーから発生した蒸気はアミノ酸発酵工程の熱源として利用する。

 サトウキビの収穫期である5~12月はこの方法でボイラーにバイオマスを供給。収穫期以外の期間は、バガスや木材チップを外部から購入する。工場を訪れた6月は収穫期だったため、サトウキビを搾る機械がフル稼働し、細かく砕かれたバガスと木材チップが倉庫にうず高く積まれていた。

 従来の動力源は天然ガスボイラーだった。バイオマスボイラーの導入により、工場で使用する蒸気の約7割をバイオマスで賄うとともに、工場のCO2排出量を4万tから1万7000tに削減。ボイラーから出た灰は土壌改良剤として活用している。

●蒸気を回収し、90%再利用

 サンパウロ州には、食品や医薬品、化粧品などを生産するリメイラ工場も立地している。なかでも風味調味料「SAZON」はブラジルの人気商品だ。「年間40億袋を生産し、ブラジル家庭で8割のシェアを握っている」と、カルロス・テツヤ・タカタ事業所長は胸を張る。粉末ジュースの「MID」や「FIT」、粉末即席スープの「VONO」も主力製品だ。

 リメイラ工場は節水や省エネ、省資源に注力している。工場で使用する水は自前で川からポンプでくみ上げ、処理して使用している。水のリサイクルを進め、ドライ洗浄工程を増やすことで、2003年から2011年にかけて、生産量を11万5000tから15万tに増やしながら、水の使用量を1100万m3から400万m3に約60%削減することができた。

 ブラジルの電力は水力発電が主流だ。国全体の電力の75%を水力発電で賄っている。出力1260万kWの世界第2位のイタイプ水力発電所もある。水力発電の利用でCO2排出量を抑えるのに加え、リメイラ工場では蒸気を再利用する「蒸気圧縮法」(MVR)で省エネとCO2削減に取り組んでいる。

 アミノ酸製造の濃縮工程では、通常、天然ガスや重油を燃やして釜を加熱する。従来は発生する蒸気を捨てていた。MVRではこの蒸気を回収し、コンプレサで圧縮し、そのスチームで発電し、濃縮工程における加熱に利用する。この方法により、排出する蒸気の量を90%削減。天然ガスや重油の使用量を減らし、その燃焼に伴うCO2排出量を90%削減することができた。

 リメイラ工場では、SazonやVonoなどの包装材の軽量化も進めている。包装材メ-カーと協力して薄くて軽い材料を開発し、7000tの包装材の削減にも成功した。

 「資源を効率的に利用することは“地球持続性”にとって極めて重要。ブラジルやタイだけでなく、世界の工場でバイオサイクルをさらに発展させたい」と、味の素の國本裕・代表取締役副社長は語る。食品大手の味の素が開発する食資源の利用効率を上げる革新的技術は、地球の食料問題解決の糸口にもなるだろう。

http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20120904/114525/