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新世紀・世界文学ナビ:ポルトガル語圏/4 ジョルジ・アマード=ナビゲーター・武田千香


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ブラジルの20世紀最大の国民作家ジョルジ・アマード。例のドラマ「ガブリエラ」の作家さんのようですね。実はあまり詳しくないもので、なんだか作品を読んでみたくなりました^^

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■新世紀・世界文学ナビ:ポルトガル語圏/4 ジョルジ・アマード=ナビゲーター・武田千香

 ◇生誕100年、ブラジルの国民作家
 「アマード(愛された)」という名にふさわしく、彼ほどにブラジルの民衆から愛された作家はめったにいない。ジョルジ・アマード(1912〜2001)はだれもが認めるブラジルの20世紀最大の国民作家で、作品は49言語以上に翻訳され、世界中で読まれている。8月には生誕100周年を迎え、亡くなってはいるが、ある意味で「旬の作家」だ。

 その文学の源泉にあるのは民衆の力で、題材は20世紀前半にはまだ偏見の対象だった北東バイーア地方の混血文化。書くことは人間の生と心を伝えること。その信条どおりアマードはひたすら民衆の心に耳を傾け、その心理に深く分け入り、彼らの苦悩や願い、喜びや哀(かな)しみをくみ取った。20世紀半ばまでは共産党員として、民衆の自由を脅かし圧迫する権力者と共に戦った指導者でもあった。

 彼の文学にはふたつの流れがある。ひとつは、民衆が主役のサルバドールの黒人系文化を愛情たっぷりに描いたものだ。『砂の戦士たち』(95年、彩流社)や『テレザ』(04年、東洋出版)が日本語で読める。

 もうひとつは20世紀前半のバイーア地方で、カカオ産業をめぐって展開された壮大な叙事的ドラマで、開拓者や大農場主、輸出業者、労働者の活躍したカカオの大地を舞台に、情熱や冒険や愛情に満ちた物語が語られる。『果てなき大地』(96年、新潮社)や『丁子と肉桂のガブリエラ』(95年、彩流社)がこれに含まれる。

 生誕100周年を機に、全集の編纂(へんさん)が進み、記念行事が国内のみならず世界各地で催された。作品も映画化やドラマ化され、とりわけ「ガブリエラ」は話題を呼んだ。アマードは名作と共に多くのヒロインを創ったが、ガブリエラはその代表だ。「花によっては庭の枝にある間は香(かぐわ)しく美しいが、花瓶に活(い)けられると、たとえそれが銀の花瓶でも枯れてしまう」。靴を嫌い裸足でいることを好むそんな彼女が体現するのは、人間の本質的自由。アマードが追求した自由は、権利や義務や法律などとは無縁の、自然界に生まれた人間のそのままの姿なのだ。

 あまりに民衆寄りの姿勢は、多くの批評家や研究者に嫌われた。しかし彼の文学への支持は根強く、今年の生誕100周年で、彼は甦(よみがえ)った。=毎週月曜日に掲載

 <作家本人から>

 ◇希望の騎士から
 (ナビゲーターより ストリートチルドレン、娼婦(しょうふ)、労働者……アマードは、それまで社会の隅に追いやられていた人々に光を当てた。民衆にとって彼の文学は希望の言葉だった。それは次のメッセージによく表われている)

 十年前、私はやはりカカオをテーマに、荒々しい小さな小説を書いた。そして、今日、再びそのテーマに戻ってきた。(中略)この十年間、私は連日の戦いを繰り広げ、旅を重ね、講演をし、民衆とともに生きてきた。そして、今、深い喜びを胸に、次のように言い切ろう。この十年間に執筆した作品だけでなく、私が生きた人生には決してとぎれることのない一本の糸が、一貫して通っている、と。その一本の糸とは、希望という糸である−−いや希望というより、確信と言うべきであろう−−明日こそはもっと良くなる、もっと美しいものになるという確信である。(『果てなき大地』序文)

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 ■人物略歴

 ◇たけだ・ちか
 神奈川県生まれ。翻訳家。東京外国語大教授。ブラジル文学・文化専攻。

http://mainichi.jp/feature/news/20121008ddm014070004000c.html