ブラジルニュース アペルトジマオン|ブラジル経済・ビジネス・文化・生活・サッカー・音楽・旅行等、ブラジルニュースを収集・発信

カギはあの都市にあり 未知の大市場、中南米を攻める秘策


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • SumoMe
  • このエントリーをはてなブックマークに追加




ブラジル、そしてメキシコを筆頭に、中南米市場がアツいという話。中南米の経済規模はBRICs、ASEAN諸国と比較してもまったくひけをとらない、と。ASEANばかりに目がいっている経営者のみなさま、こっちもありますよー!^^

—————————————————————————————————
■カギはあの都市にあり 未知の大市場、中南米を攻める秘策

 ブラジルといえばサンバ、メキシコはタコス、コロンビアはコーヒー――。中南米と聞いて日本人が抱くイメージではなかろうか。2014年のサッカーワールドカップや2016年のリオデジャネイロオリンピックの開催地としてブラジルを思い浮かべる方もいるかもしれない。

 もちろん、間違いではない。だが、ビジネスに目を向けると、そんな日本におけるイメージとは異なる光景が中南米で広がっている。

 ブラジルのエンブラエル社製リージョナルジェットが世界中を飛びまわり、メキシコは欧米航空機生産の一大集積地に成長しつつある。政府が左翼ゲリラと10月中旬に和平交渉を開始したコロンビアは、多くの欧米企業が熱い視線を注ぐ有望市場に様変わりした。本コラムでは今後、そんな「リアルな中南米」の姿をお伝えしていく予定だ。

●経済規模はBRICs、ASEAN諸国に匹敵

 日本では地球の反対側に位置する中南米のビジネスに関する情報は乏しい。文化や言語も異なるため、縁遠く感じてしまう経営者は少なくないであろう。成長センターであるアジアの新興国への進出に急ぎ、中南米ビジネスを考える余裕はあまりないかもしれない。

 驚くなかれ。中南米の経済規模はBRICsのインドやロシア、ASEAN諸国と比較してもまったくひけをとらない(図1)。2011年に英国を抜き、GDP世界第6位となった中南米の雄、ブラジルはインドやロシアに勝る。ブラジルを追うメキシコも韓国やASEAN最大のインドネシアより大きい。アルゼンチンはタイを、コロンビアはマレーシアを凌ぐ。

中南米諸国

 近年は一次産品価格の高騰や中間所得層の大幅な拡大により好景気に沸いた。サンバやタコスだけではない。好調な中南米市場は、すでにこの地で高いプレセンスを誇る欧米企業をはじめ、世界中の企業を魅了しているのだ。

●着々と食い込む米国

 むろん楽観的な話ばかりではない。ここへきてブラジル経済の雲行きが怪しくなってきた。2011年の実質GDP成長率は前年の7.5%から2.7%に低下、2012年には1.6%まで下がるとの予想をブラジル中央銀行が発表している。政府は景気後退に嘆く国内産業を守ろうと、輸入制限的な措置を矢継ぎ早に繰り出す。それでも、中長期的に見て中南米が巨大市場へ成長する可能性は高い。ここで後手に回れば、今後のグローバル競争に影響する。

 日本企業にとっては、不安定な経済や政策の変更に加え、乏しい情報量が中南米ビジネスを困難にしている。「輸入条件を変更したと聞いたが、手続き方法が分からない」といった声も実際に聞かれる。アプローチするには距離、時差、言語・文化の違い、人材の欠如など多くのハードルが待っているからだ。

 そんな日本企業を横目に、米国企業は中南米市場に攻勢をかける。米国の中南米全体との貿易額(2010年、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会資料)は国別でダントツ、直接投資額(2006年から2010年の平均、フロー、同資料)のシェアも約4分の1を占め、米国経済のいわば「バックヤード」といわれるこの地域で積極的にビジネスを展開している状況が浮かび上がる。

 米国企業は中南米各国の経済や社会政策に食い込むのがうまい。

 たとえば1991年にコロンビアに進出したヒューレット・パッカード(HP)は、当時低いパソコン利用率、商業向けITインフラの欠如といった障害が少なくない中、政府によるパソコン普及活動などへの協力を通じてHPブランドを広げていった。2010年7月には中央・地方政府との間でビジネスオフィス・営業サポート、コールセンターなどを備えたグローバル・サービス・センターをメデジン市に設置することで合意。今ではコロンビア市場でのシェアは40%、プリンターでは60%を占めるまでになった。

●橋頭堡として有望なマイアミ

 米国は中南米地域と近接しており、時差もあまりないがゆえ、出張は容易、電話やメールもオンタイムでやり取りが可能だ。ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市や、テキサス、フロリダ州といった南部地域にはヒスパニック系人口が集中しており、有能な中南米ビジネス人材を確保できる。

 そうした米国の利点を日本企業も活用してはいかがだろうか。特に注目すべきはフロリダ州マイアミだ。

 チリのビジネス誌が2010年に実施した「中南米におけるビジネスのための都市」ランキングで、マイアミは米国の都市にもかかわらずサンパウロやメキシコシティーなど中南米勢を抑えて堂々1位に選ばれた(表1)。中南米諸国との間の航空便数や貨物量は米国内でトップ。都市圏人口の65%がヒスパニック系でバイリンガル。そして中南米を専門とする研究機関やメディア、弁護士やコンサルタントなどプロフェッショナルサービスが集積する、まさに「中南米の首都」と比喩できよう。

中南米におけるビジネスのための都市ランキング

 ハード・ソフトインフラの充実は大企業を引き寄せている。マイアミにあるメディア会社「WorldCity」が2010年に実施した多国籍企業を対象にした調査によると、ウォルマート、オフィスデポ、HP、キャタピラーなど624社にのぼる米国大手がマイアミに顔をそろえ、多くが中南米拠点として機能している。

 わずかだが日系企業の顔ぶれも見られる。ある医療機器メーカーは、中南米の経験が豊富な駐在員を置き、南米諸国を営業で飛び回らせている。ある空調メーカーはアンデス諸国や中米、カリブ諸国にある地場ディストリビューターとの取引を管理している。

 マイアミは中南米ビジネスの万能薬とまでは言えないが、大きなポテンシャルを秘めているのは間違いない。進出を検討する企業にとってはこの都市を利用することも戦略の1つと考えられる。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121025/238569/