ブラジルニュース アペルトジマオン|ブラジル経済・ビジネス・文化・生活・サッカー・音楽・旅行等、ブラジルニュースを収集・発信

アフリカに接近するブラジル:新たな大西洋同盟


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • SumoMe
  • このエントリーをはてなブックマークに追加




ブラジルからアフリカへ。この流れはいいですねー。なんだかとても興味深いです。僕もその流れに乗っかって、アフリカをちょこっと覗きに行ってみたい…ま、そんなに甘い考えでは通用しないのは明らかですが。笑 しかし、奴隷による「歴史的な借り」があるとは、またなんともコメントし難い話ですね。

————————————————————————————————
■アフリカに接近するブラジル:新たな大西洋同盟

ブラジル企業が資本と専門技術を引っ提げてアフリカに向かっている。

モザンビーク北部の汗ばむ暑さの中、ブラジルの鉱業大手ヴァーレは、モアティゼ村近郊の鉱山で石炭を採掘している。40万トンの石炭が今にも燃え上がりそうな様子で山積みになっている。この鉱山では1時間当たり4000トンの石炭を産出できるが、鉄道と港が追いつかない。

 ヴァーレは輸出向けに石炭を運ぶため、マラウイを経由する路線の改善に取り組んでいる。別のブラジル企業OASコンストルトラも同じ目的でヴァーレと契約を交わし、北東に1000キロ行った場所にあるナカラで新しい港の一部を建設することになった。

 アフリカ大陸は会社の将来にとって重要な要素だ、とヴァーレのアフリカ代表、リカルド・サード氏は意気込む。ブラジルの展望に興奮しているのはサード氏だけではない。

●ルラ前大統領の時代に花開いた関係

 アフリカとの関係は、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ氏の大統領時代に花開いた。ルラ前大統領は十数回アフリカを訪問し、アフリカの指導者たちもブラジルに押し寄せた。

 前大統領の情熱には、イデオロギー的な面もあった。前大統領の外交努力の大半は「南南」関係に向けられ、批判的な向きに言わせると、米国など、より強力(かつ、より豊か)な貿易相手国を疎かにすることになった。

 ルラ前大統領はアフリカに対するブラジルの「歴史的な借り」を強く主張した。奴隷としてブラジルに送られた350万人のアフリカ人に言及した発言である。ナイジェリアを除けば、ブラジルは世界で最も黒人の人口が多い。

 ブラジルの現大統領のジルマ・ルセフ氏も、そうした政策を継続している。もっとも、アフリカとの関係がブラジルに恩恵をもたらすという点により重点を置いているが。

 アフリカとの関係は様々な形でブラジルに恩恵をもたらし得る。アフリカはインフラを必要としており、ブラジルには多くの建設会社がある。また、アフリカには莫大な石油と鉱物資源が眠っており、ブラジルにはそれらを掘り出す企業が存在する。

 ブラジルの巨大な農業関連企業もアフリカに着目し始めている。もしアフリカ大陸の経済が近年のような成長を続ければ、ブラジルの新中産階級のような顧客が何百万人も誕生するだろう。

 ブラジル企業は熱心なようだ。ブラジルは2001年にアフリカに対して690億ドルの投資を行った。入手可能な最新の統計によれば、2009年には投資額が2140億ドルに膨らんでいた。

 ブラジル企業は当初、足掛かりを得るために、言語的にも文化的にも親しみのあるポルトガル語圏のアフリカ諸国、特にアンゴラやモザンビークに重点を置いていた。それが今ではアフリカ大陸全土で事業を拡大している。

 今のところ、一握りの大手企業が市場を支配している。モザンビークにあるヴァーレの炭鉱は、同社がブラジル国外で手がける最大の事業だ。

 オーデブレヒトは1980年代から、アフリカで様々な施設を建設してきた。初期にはアンゴラで広大なカパンダダムの建設に参画。首都ルアンダでは同国初のショッピングモールを建設した。また、住宅需要が凄まじく、テナントが最大2年分の家賃前払いを強いられるガーナでは、巨大コングロマリット(複合企業)であるカマルゴ・コレアの建設請負会社OASが公営住宅を建設中だ。

 別の建設会社のアンドラーデ・グティエレスはアンゴラ、アルジェリア、コンゴ、ギニアで、港から住宅、衛生関連事業に至るまで様々なプロジェクトを手がけている。ブラジルの国営石油大手ペトロブラスは既にアンゴラとナイジェリアで石油の生産を行っており、ベニン、ガボン、リビア、ナイジェリア、タンザニアでも事業展開を模索している。

 消費財企業も成長市場に目を向けるようになった。ブラジルの化粧品会社Oボティカリオは2006年からアンゴラで製品を販売している。

●ブラジルvs中国

 ブラジルは投資の規模では中国などと張り合えないため、何らかの付加価値を提供しなければならない。特に技術的な専門知識だ。気候が似ていることから、農業は協調の実りが大きい分野だった。

 ブラジルの農業研究機関エンブラパは2008年にガーナに事務所を開設した。

 ブラジルはエンブラパを通じて、ベニン、ブルキナファソ、チャド、マリの綿産業への技術支援を行った。大豆、サトウキビ、トウモロコシ、そして綿花を生産するブラジル企業は今年に入って、タンザニアへの投資の可能性を検討していた。

 ブラジル企業は、自分たちの評判のおかげで、先々も商機が到来し続けることを願っている。彼らは競争相手、特に中国企業と一線を画したいと考えている。

 アンドラーデ・グティエレスのアフリカ代表を務めるロドリゴ・ダ・コスタ・フォンセカ氏は、ブラジル企業は手に入れられるものをすべて奪い取っているように見られたくないのだと言う。

 中国企業が労働慣行について激しく非難されているのに対し、ブラジル企業は、自分たちはルールに従う企業で、良心的な雇用主であり、民間投資と開発援助を与えることで永続的な関係を築くことを望んでいると主張する。

 特にブラジル企業は、アフリカではアフリカ人を雇用していると強調する(中国企業は中国人を連れてくると批判されることが多い)。アンゴラで働くオーデブレヒトの従業員の9割は地元の労働者で、モザンビークのヴァーレでも85%が現地の人間だ。

 ブラジル企業が批判をすべて回避できたわけではない。ヴァーレは炭鉱の開発のために1000世帯を移住させたことで批判にさらされた。大半の世帯は、モアティゼから40キロ離れたカテメの真新しい村に転居させられた。不満を抱く村人は、州都テテへの交通費がかさむようになったために、生活費が急上昇したと言う。

 また、住民によれば、新しい土地はモアティゼと比べて肥沃でなく、水も少ないうえ、ヴァーレが提供した家屋の造りは粗雑だと言う。今年1月には怒った村人が抗議して、近くの鉄道路線を封鎖した。

 一方、ヴァーレは家屋を修理し、町までバスを走らせ、一連の問題に対処していると言う。モアティゼにあるヴァーレの鉱山を運営しているアルティベルト・ブランダオ氏は、ヴァーレは最初に進出した代償を払っていると言う。同社は35年間の利権を保有しているため、地元の人を味方につけておく必要がある。「トラブル続きの35年は困る」とブランダオ氏は言う。

●資源よりも市場の多角化

 シンクタンク、グローバル・パブリック・ポリシー・インスティテュートのオリバー・ステンケル氏によれば、ブラジルはアフリカでまだハネムーンを満喫している。それでも、ブラジルは他人の失敗から学ぶべきだと同氏は言う。鉱業の分野で抜きんでているブラジルは常に、新たな植民大国と見なされる恐れがある。

 ブラジルの存在感が高まりつつあるとはいえ、中国の存在感に比べれば取るに足りない。中国とは異なり、ブラジルはアフリカの資源を必要としていないが、自国にとっての市場の多角化に強い関心を持っている。

 欧州には建設事業がない。欧州にはもはや建てるべきものがないのだ、とOASのアフリカ代表、レオナルド・カラード・デ・ブリト氏は笑う。「アフリカこそが、我々がいるべき場所だ」 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36546