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タイフットサルワールドカップ2012 決勝 「ブラジル x スペイン」 キタケンレポート


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フットサルワールドカップの決勝戦のレポートです。いやー、あの試合は本当に緊迫感がある白熱した試合でしたよね。そして何より嬉しいのは、そんな緊迫感漂う試合でブラジルが劇的な勝利をおさめたということ^^ 改めて思わず嬉しくなってしまいますね。おめでとうございます!

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■タイフットサルワールドカップ2012 決勝 「ブラジル x スペイン」 キタケンレポート

フットサルの未来は明るいのか?

 ワールドカップの決勝戦は「またしても」ブラジルとスペインになった。このカードはフットサル界の黄金カードである。例えるなら、バルセロナとレアル・マドリードのクラシコのようなものだ。

 ブラジルのスタメンはGK(2)チアゴ、FP(11)ネト、(6)ガブリエル、(8)シミ、(10)フェルナンジーニョ、スペインはGK(12)ファンホ、FP(8)キケ、(3)アイカルド、(14)アレマオ、(5)フェルナンダオ。

 前半は「何もなかった」。何もなかったというと、そんなことはないと言われそうだが、ゴールシーンとか、決定的なチャンスといったメモをとりやすいシーンはかなり少なかったということだ。どちらもプレスをかいくぐることができず、ボールを相手陣内に運ぶことさえ苦労していた。

 もっとも、これは予想された展開でもある。ブラジルやスペインのようなレベルのチームが、体力的に十分な状態でプレッシングをかけた場合、それをかいくぐるのは難しい。これまでの両者の戦いを振り返っても、試合が大きく動くのは体力的に落ちてくる後半からだ。

 それでも、どちらが優勢だったかといえば、スペインのほうだ。前半のスペインにあって、ブラジルになかったのは、優秀なピヴォの有無だった。スペインはブラジルのプレスに対し、GKの(12)ファンホからピヴォ(5)フェルナンダオへのロングボールを効果的に使って、プレスを回避していた。

 ブラジルもピヴォがいないわけではない。しかし、本格的なピヴォの⑨ジェはオプションとして起用されることが多く、マルコス・ソラート監督のファーストチョイスは(10)フェルナンジーニョや(8)シミのようなピヴォもアラもこなす万能タイプである。前半に関しては、それが裏目に出ている感は否めなかった。

 スコアレスで折り返した試合が動いたのは、後半24分のこと。決めたのは劣勢を強いられていたブラジルだった。左サイドのCKを(10)フェルナンジーニョが短く出して、左45度から(11)ネトが左足で叩き込んだ。

 レベルの高いフットサルでは、ゴールのほとんどがフットサルから生まれる。

 ディフェンスの強度や質が高まっている中、パスを何本もつなぐ、フットサルらしいコンビネーションからのゴールを決めることは難しい。練習通りの形を再現できるセットプレーからでなければ、ゴールが決まらなくなっているのだ。

 29分のスペインの同点ゴールは、FKから⑦ミゲリンが左足で打ったシュートのこぼれ球を(4)トーラスがプッシュしたもの。それまで、(5)フェルナンダオへのピヴォ当てでチャンスを作っていたスペインだったが、ゴールになったのはやはりセットプレーだった。

 同点から1分後の30分、左サイドの高い位置のキックインからレフティの(3)アイカルドが打ったシュートが、GK(2)チアゴの壁を破って2点目。スペインがセットプレー2発で試合をひっくり返した。

 スペインのすごさは、40分間を通じたゲームをマネジメントする力にある。今、何をするべきかを選手たちが冷静に判断し、高い精度で実行できる。準々決勝で戦ったロシアも、準決勝のイタリアも、スペインのマネジメント力の前に敗れ去っている。

 ブラジルもロシアやイタリアと同じ運命をたどるかと思われた。今大会のブラジルからは、スペインほどの完成度は感じられなかった。スペイン優勝の空気が漂い始めた36分、1人の男が試合の流れを変える。

 パワープレーを開始してから1分後の、36分、(12)ファルカンがゴール中央の位置から左足のミドルシュートをゴール左隅の神様コースに突き刺す。(12)ファルカンはケガの影響や、肉体的な衰えもあって、出場時間はそれほど多くなかった。それでも、2ゴールを挙げたアルゼンチン戦と同じように、短い時間で決定的な仕事をして大きな存在感を放った。

 ブラジルが先制し、スペインが逆転し、(12)ファルカンのゴールで追いつく……。脚本があったのではないかと思うような展開で、決勝は延長へと突入した。延長戦の時点でブラジルには大きなアドバンテージがあった。ファウル数である。延長戦には後半のファウル数が持ち越される。スペインは5、ブラジルは2。つまり、スペインは延長の10分間、「ファウルをしたら第2PK」という状態でプレーしなくてはならない。

 40分間、均衡を保っていたバランスが初めて崩れた。

 延長戦のブラジルはこれでもかというぐらい積極的に仕掛けていった。スペインはファウルをとられれば第2PKになってしまうので、強く当たりに行くことができない。延長戦は攻めるブラジルと、守るスペインという構図が明確になった。

 試合が動いたのは、PK戦が現実味を帯びてきた残り19秒。左サイドの(11)ネトが1対1で対面の(5)フェルナンダオを鮮やかに抜き去って、左足でゴール右隅にグラウンダーのシュートを決めた。劇的な決勝ゴールでブラジルが2大会連続優勝をつかんだ。

 試合展開は劇的だった。レベルも高かった。だが、優勝セレモニーを眺めながら胸の中から湧いてきたのは、「フットサルの将来は明るいのか?」という漠然とした不安だった。

 リスクを最小限に抑えながら、一瞬のスキを突いて得点を狙う。レベルの高いチームの試合では、それが当たり前の光景になっている。決勝戦でも5得点中3点がセットプレーだったし、もう1点はパワープレーから、決勝ゴールにつながった果敢なドリブル突破も5ファウルでなければ生まれていなかっただろう。

 ピッチ上ではチームや選手同士の緻密な駆け引きが行なわれている。だが、それをどれぐらいの人が理解し、面白いと感じるのだろうか。フットサルというスポーツの発展性を考えたとき、どんどんマニアックな方向に進んでいるのは危険なことだと思う。

 タイのファンは決勝戦のシリアスな戦いよりも、3位決定戦で見せたコロンビア選手たちのトリッキーな技巧に沸いていた。どこのチームもコロンビアのようにプレーしろと言いたいわけではない。だが、コロンビア的な要素がなくなってしまったフットサルは、ひどく味気ない。「すごい試合を見られた!」と無邪気に喜ぶ気にはとてもなれなかった。

http://www.futsalnet.com/fn2009/2012/11/topics-018569.php