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クラブW杯、コリンチャンスが決勝で証明したこと


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クラブワールドカップ決勝戦の振り返り。「大会史上最もスリリングでエキサイティングな決勝戦」だったそうで。チームワークのコリンチャンス対個人技のチェルシーという構図。個人的にはブラジルとヨーロッパのサッカーは、逆であって欲しいとも思ってしまいますが…^^;

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■クラブW杯、コリンチャンスが決勝で証明したこと

チェルシー(ヨーロッパ代表、イングランド)のキックオフで始まったFIFAクラブワールドカップ2012の決勝戦。開始からわずか12秒のプレーに、コリンチャンス(南米代表、ブラジル)がこの試合をどう戦おうとしているかが象徴されていた。

■スター軍団にひるまず、激しいタックル

キックオフ後、すぐに後ろに回されたボールを、チェルシーのDFケーヒルが大きく左前方に送る。それを受けた攻撃のけん引役である左MFのアザールが一挙にスピードを上げて突破を狙った。

その足元にコリンチャンスのDFチカオが激しく深いタックル。見事にボールを奪い返した。

「コリンチャンスはフィジカルな戦いを仕掛けてきた」とチェルシーのベニテス監督。

個人技で圧倒的な優位に立つチェルシーに対し、コリンチャンスは一対一の場面で一歩も引かずに激しく当たった。相手選手の名声にひるまず、ファウルぎりぎりのプレーをしてでも止めようという気持ちを前面に出して戦ったのである。

この大会の欧州勢6連覇を阻止し、コリンチャンスに勝利を引き寄せたのは、そうした姿勢だった。

■昨年のサントスの戦いぶりから得た教訓?

16日に横浜国際総合競技場で行われた決勝戦はコリンチャンスとチェルシーの顔合わせだった。ほぼ現在の形となった2005年の第2回大会以来、8大会中7回目の南米勢―欧州勢の対決。忘れてならないのは07年以降、過去5大会はすべて欧州勢が勝ち、優勝を飾っているという事実だ。

昨年はバルセロナ(スペイン)がサントス(ブラジル)に4―0で圧勝している。FWメッシ(アルゼンチン)ら世界的なスターを並べるバルセロナに、さすがのサントスも戦う前からのまれてしまっている感じで、まったく力を発揮できなかった。

今年の大会に臨むコリンチャンスのチチ監督が最も大きな教訓を得たのは、昨年のサントスの戦いぶりではなかったか。実際、コリンチャンスはスター軍団の相手を恐れず、技術的な面で劣るところがあっても、全員の献身でカバーして90分間を戦いぬいた。

■オスカルを先発から外したチェルシー

チェルシーは準決勝でモンテレイ(北中米カリブ海代表、メキシコ)を3―1で一蹴した試合から先発を3人入れ替えた。

モンテレイ戦ではボランチとしてプレーし、相手の中盤のパスワークを封じたダビドルイス(ブラジル代表)を本来のポジションであるセンターバックに戻し、ボランチには同じブラジル代表のラミレスを起用。もう1人のボランチには故障明けのランパード(イングランド代表)を入れた。

だが何より驚かせたのは、準決勝でトップ下としてチェルシーの攻撃をリードしたMFオスカル(ブラジル代表)を外し、FWモーゼス(ナイジェリア代表)を右MFに起用したことだった。

「モーゼスのスピード突破に期待した」とベニテス監督。その狙いは半ば当たり、前半に限っていえば、準決勝で大活躍だった左MFアザール(ベルギー代表)よりもモーゼスのサイドからの突破、チャンスメークが目立った。

■前半のコリンチャンスは散発的攻撃に終始

コリンチャンスも準決勝のアルアハリ(アフリカ代表、エジプト)戦から少し変えた。

アルアハリ戦は、ボランチをラウフの1人だけにした「4-1-2-3」の形で戦った。ボランチでプレーするかと思われていたMFパウリーニョ(ブラジル代表)は常に攻撃的なポジションを取り、「トップ下」のドウグラスと並ぶ位置で攻撃に絡んだ。そして前線には、右からダニーロ、ゲレロ(ペルー代表)、エメルソンが並んでいた。

しかし、決勝でチチ監督は古典的な「4-2-2-2」を選んだ。パウリーニョとラウフをボランチに並べ、右MFに準決勝では出場しなかったジョルジエンリケ、左MFにダニーロを起用し、最前線にはゲレロとエメルソンを並べたのだ。

「チェルシーのDFが長いボールを前線に送るのを妨害しようとしてゲレロの近くにエメルソンを置いた」(チチ監督)という理由だったが、前半はそう機能したようには見えなかった。

前半のコリンチャンスの攻撃は散発的で、ゲレロとエメルソンの個人突破に頼るばかり。

その攻撃も189センチの長身だけでなく、スピードと強さも兼ね備えるダビドルイスと190センチのケーヒルという両センターバックにあっさりとはね返され、やっとキープしたと思ったときには中盤から戻ってきたラミレスに絡まれてボールを失った。

■史上最もエキサイティングな決勝戦に

しかし後半に入ると試合の様相が少しずつ変わり始めた。

前半の無失点で自信を得たコリンチャンスの守備陣が安定し、右サイドではジョルジエンリケが時間がたつほどにエネルギッシュになってチェルシーを悩ませた。

そして攻撃にボランチのパウリーニョや両サイドバックが絡むようになって分厚さを増し、試合は一進一退となった。

昨年のバルセロナの圧勝に代表されるように、クラブワールドカップの決勝戦はスターを並べたヨーロッパ勢が試合を支配し、南米勢は守備を固めて耐え、なんとか勝機を見いだそうという戦いがほとんどだった。

南米勢がチャンピオンになった05年(優勝サンパウロ=ブラジル)と06年(優勝インテルナシオナル=ブラジル)も、その図式は同じだった。

しかし、今年のコリンチャンスは、初めてヨーロッパ・チャンピオンと互角の攻め合いを展開した。チェルシーとの対決は、大会史上最もスリリングでエキサイティングな決勝戦となったのだ。

そして後半24分に決勝点が生まれた。

コリンチャンスの攻撃はいったんはね返されたが、最後尾のDFチカオが前線に上がっていたMFパウリーニョに鋭い縦パスを送った。

■2次攻撃からの決勝点

相手ペナルティーエリアの右手前でボールを受けたパウリーニョは、ヒールを使って右外のジョルジエンリケにパス。浮いたボールをジョルジエンリケがヘッドで戻し、受けたパウリーニョはシュートコースを作ろうと左にドリブルした。

このパウリーニョのドリブルは少し大きくなったが、左外からはいってきたダニーロが拾い、パウリーニョとクロスするように右へ。そして左利きのダニーロが右足でシュート。

ボールはブロックに入ったチェルシーのDFケーヒルの足に当たって小さく跳ね上がった。

落下点にいたのはコリンチャンスのFWゲレロ。ジャンプして放ったヘディングシュートは、ゴール内を固めたチェルシーの3選手の頭上を越え、ゴールに吸い込まれた。

「コリンチャンスが点を取るなら……」と予想されたカウンターからのゴールではなかった。分厚い攻め、クリアを拾っての2次攻撃から、相手の守備組織を崩しての1点。見事なゴールだった。

■チェルシーもチャンスをつかんだが…

チェルシーにとっては思いがけない失点だったに違いない。前半の状況から、いつかは決勝点が入って勝てるだろうと思っていたのではないか。

後半の10分過ぎから明らかにコリンチャンスの攻勢になっていたにもかかわらず、ベニテス監督も何も手を打たなかった。切り札であるオスカルの投入を決断したのは、1点を失った後だった。

オスカルが入ってチェルシーの攻撃にリズムが戻った。

そして後半41分、チェルシーが決定的なチャンスもつかんだ。

右からのスローイン。交代で右サイドバックに入ったアスピリクエタのロングスローはFWフェルナンドトレスの頭上を越えたが、なんと落下点にいたコリンチャンスDFの体に当たり、フェルナンドトレスの目の前に戻ってきたのだ。

ゴールまで6メートル。まったくのノーマーク。だが、シュートはコリンチャンスGKカッシオの足にはね返された。

■「チームワークが個人技を上回る」

ロスタイムの4分間も守りきったコリンチャンスが1―0で押し切った。00年の第1回大会(ブラジルで開催)に次ぐ2回目の栄冠に輝いた。

「コリンチャンスの勝利は、個人の力よりチーム力が大切だということ、チームワークが個人技を上回るということを証明した」

欧州勢の「6連覇」を阻止し、久々に南米に優勝カップを持ち帰ることになったコリンチャンスのチチ監督は、誇らしげにそう語った。

http://www.nikkei.com/article/DGXZZO49642360X11C12A2000000/