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追悼(2):建築家、オスカー・ニーマイヤー氏


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今年を振り返ると、やはりこの人、オスカー・ニーマイヤーの死はとても悲しい出来事でしたね…偉大なる建築家を失ってしまった、と。もちろんとはいえ、104歳という長寿ではあったかとは思いますが、まだまだ新しい世界を見せて欲しかったような気はしてしまいますよね。ご冥福をお祈り致します。

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■追悼(2):建築家、オスカー・ニーマイヤー氏

建築は巨額の資金、多くの資材、一定の面積を必要とする。関わる人材も多岐にわたる。

環境と伝統文化に配慮した外面、使いやすい快適な内部の設計となれば世代を超えた社会資産となる。

逆にダメな設計は地域社会が培ってきた環境を破壊し、地域社会の雰囲気を一変させてしまう。資源、資金、人材、土地の壮大なムダとなる。それだけ重要な仕事だ。

例えばイタリアの建築家、レンゾ・ピアノ氏(日本では関西空港の設計で知られる)。

ピアノ氏はベルリンの都心に作られたポツダム広場の主要建築家で、ポツダム広場は統一後の未来都市ベルリンの都心を意識した産物だ。ジェノヴァ郊外、地中海を見下ろす丘の中腹にある氏の事務所は、周囲の景観の一部となって、それ自体がジェノヴァの資産になったと言われる。

日本の建築家、伊東豊雄(いとう・とよお)氏は周辺環境に配慮し、周辺に溶け込む設計で世界から評価が高い。表参道に立つ靴専門店(トッズ)はその一例で世界の建築界で評価が高い。

その建築界にあって現代建築に新しい空間を切り拓いたブラジルの建築家、オスカー・ニーマイヤー氏が12月5日に亡くなった。104歳だった。

ニーマイヤー氏は何と言っても、ル・コルビジュと共に設計したニューヨークの国連本部や、長未来都市を想像させるブラジルの新首都ブラジリアなどの建築家として知られる。

素材の特質を考え、自然景観や海の波の形体、女体の曲線の美しさに魅かれ、それを洗練されたデザインで環境に働きかける建築を世界各地で実現させた。

パリにあるフランス共産党本部は、その女性の曲線美をガラスの面で表現するのに成功したといわれる作品だ。

日本にもニーマイヤー氏の影響を受けたと思える曲線の美しさを取り入れた建築が出てきている。

周辺環境に合わせる建築の伝統は欧米では幾つも見られる(例えば、世界遺産で知られるドイツ・バイエルンのヴィース教会は、こじんまりした規模と屋根が周辺の景観と調和していることで知られる)。

また、ニーマイヤー氏は宇宙の誕生・ビッグバン・数々の星・惑星が永遠に生まれては消滅する宇宙とその中の小さな惑星・地球に生きる人間や幾多の生命体系を常に考えてきた、という。

超音速の飛行機や宇宙船を想起させるデザインなどは、そうした宇宙観、生命に対する畏敬、というものが感じられる、と言われる。

そのためか、平原のど真ん中に登場したブラジルの新首都ブラジリアの都市設計は、ニーマイヤー氏の独創性がいかんなく発揮され多くの人たちをひきつける半面、批判も多かった。

いわく、都市の息吹が感じられない。soul(魂)が入っていない。あるいは、「未来の恐怖」の設計などと酷評もされている。

これに対し本人は“ブラジリアに行けば、皆さん、たぶん気に入らないだろうが、あのような都市は他のどこにもない。美を追求すれば、新しいものへの感情が芽生えるものだ”などとかわしている。

ニーマイヤー氏は、リオ・デ・ジャネイロ生まれ。ブラジルで育ち活動しブラジルで生涯を終えたが、一時期、亡命するような形でブラジルを離れている。1964年、ブラジルで軍事クーデターが起き、軍事独裁政権が登場したからだ。以後軍事政権時代の大半をヨーロッパで過ごす。軍事政権の方もブラジル国内での活動を一切認めなかった。

また共産主義に傾倒し、キューバのカストロ前議長と親交があったため、冷戦中はアメリカへの入国が認められなかった。カストロ前議長によれば、氏は最後まで共産主義が勝利する、と信じていた、という。

近年、技術と資材の進展で、巨大建築が世界各地でいとも簡単に数多く作られている。これには、コンクリートと直線一点張りの建築には美も何もない無機質なだけだ、と否定的な目で見ていた、という。

ニーマイヤー氏が最後に設計した個人の住宅は大きな球体形で、まるで宇宙船カプセルを思わせる。写真で紹介できないのが残念だが、周辺環境に違和感がなく存在しているのが印象的だ。

http://news-log.jp/archives/5966