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モバイル通信はアマゾンの奥地の教育と経済も活性化させる


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「leapfrogging」という単語は個人的には初めて耳にしましたが、以前からブラジルも含む新興国では言われていた「一気にモバイルの時代がやってくるぞ」という話。アマゾンも着々とその方向に進んでいるようですね。娯楽の前に、こうした医療関連などの生活必需サービスから普及していくのかもしれないですね。この手の動きは、また違う世界を創り出しそうで、興味津々です^^

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■モバイル通信はアマゾンの奥地の教育と経済も活性化させる

 インターネットで地球は狭くなった――とはよく言われるが、地球上にはまだネットが使えない地域が数多く存在する。固定電話を持たない途上国が、モバイル技術の到来により固定網敷設プロセスを省略して一気に電話とインターネットへのアクセスを獲得することを“leapfrogging(飛び越える)”というが、ブラジルも例外ではない。

 そのブラジルの中でも社会・経済発展が遅れてきたアマゾン川流域で、通信インフラ大手のEricssonが地元のオペレーターのVivo(Telefonica)やNGOと進めている2つのプロジェクトを現地で取材してきた。

●3Gアンテナを搭載した医療ボート

 広大な南米大陸をうねりながら流れるアマゾン川はいくつもの支流を持つ。タパジョース川はその1つだ。タパジョース川が本流に流れ込む融合地点近くの都市、サンタレンを拠点に、1年程前から「ABARE」という名のボートが川を移動して、流域に点在するコミュニティーに基本的な医療ケアを提供している。

 現地の言葉で”友人をケアする”を意味するABAREは、診察、検査、投薬までを備えた医療施設を持つだけではない。上部には3Gアンテナも持ち、近くの基地局に接続してモバイル通信を可能にしている。ボートに乗り込んだ医師や看護師らは3G通信を利用してレントゲンなどの検査データを遠隔にある医療施設に送ってセカンドオピニオンを求めたり、精密検査の結果を送受信し、効果的な医療サービスの提供に役立てている。

 周囲に通信を遮るビルや木などの障害物がなく、電波干渉がない上に河面反射によるミラー効果により感度は非常によいとのこと。初代ABAREの成功を受けて、現在医療ボートは2隻になった。2隻で約150のコミュニティーを周り、そこに住む合計3万人の人に医療サービスを提供している。政府もABAREの実績を認め、今後6年間で100隻を目標に投資する計画だという。

 約10年前にアマゾン川流域の医療実態を知り、ボートを利用した医療ケアというアイデアを思いついたのが医師のFabio Tozzi氏だ。その後、地元の医師Eugenio Scannavino氏、それにNGOのSaude e Alegriaと実現に向けて取り組んだ。

 「政府は約20年前から国民全員が同レベルの医療を受けられることを目標としているが、アマゾンの現実は大きく異なる」とTozzi氏は説明する。同じブラジルでも、サンパウロなどの都市部の住民が得られる医療レベルとは大きく乖離している。人口比でみた医師の数が圧倒的に少ない上、交通手段も限られている所得の低い流域のコミュニティーにとって医療ケアは切実な問題だ。Tozzi氏は今後、医療ケアはもちろん、水をはじめ衛生や健康に関する情報の提供もボートで行っていき、コミュニティの健康レベルを全面的に押し上げていきたいと期待を語る。

●学校にネットがやってきた!

 次に訪れたのは、サンタレンからタバジョース川を4時間ほど南下したスルアッカという集落だ。約120世帯/500人が住む小さなコミュニティーで、サンタレンに行く公共交通手段は週に2回のボートのみ。隔離された集落といってもよいだろう。

 EricssonとVivoはこのスルアッカを、アマゾンのモバイルネットワーク整備を目指すプロジェクト「Amazon Connection」のもとで、2番目に3Gエリア化した。集落の外れに設置したサイトは同社のマイクロ波伝送装置「Mini-Link」を利用してサンタレンにあるバックボーンに接続する。

 電力供給すらほとんどなかったこともあり、基地局の横にソーラーパネルも設置した。このソーラーパネルは、基地局だけではなく、近くにある学校にも電力を供給する。学校はEricssonが展開する教育プロジェクト「Connect to Learn」の舞台となっており、5台のPCを利用して、インターネットを利用した教育実験が始まっている。

 この学校で2012年6月にスタートしたConnect to Learnは、ネットワークの力を教育に活用するもので、デジタルリテラシーやスキルの改善、ネットワークを利用したコラボレーションなどを目的としている。

 現在行なわれているのは、初期段階である教師側のトレーニングで、生徒向けの正式なカリキュラムとしてはまだ導入されていない。だが、生徒は1日1時間の自由時間にコンピュータのある部屋に入室でき、Skypeを利用した通信、Wikipedia、Facebookなどソーシャルメディアなどを利用することができる。Ericssonがリオデジャネイロ郊外にあるスラム(ファベーラ)のコミュニティーセンターで展開するConnect to Learnプロジェクトとも連携しており、双方のボランティアや生徒同士が教え合うなどのコラボレーションも進みはじめたという。

 この学校で18年間教壇に立つ女性教師によると、これまでは学校に来なかった生徒が、コンピューターに触れるのを楽しみに学校に来るようになり通学率がアップするなどの変化がすでに見られるとのことだ。今後は教師が欠席した際の自己学習にも利用していきたいという。また、テレビは一方通行であるのに対し、インターネットは双方向である点を評価する。

 現在、スルアッカの子どもたちがこの学校で受けられるのは基礎教育のみで、日本の高校にあたる14歳以上向けの中等教育はサンタレンまで行かなければ受けられない。今後はこのような高等教育も地元で行ないたい意向で、モバイルの力を活用できないかと考えているようだ。スルアッカには学校のほかにも、地域のコミュニティーセンターにサイバーカフェができており、成人女性がコンピュータの使い方を学習する姿がみられた。

 Ericssonによると、2009年にAmazon Connectionプロジェクトのもとで最初に3G基地局を設置したベルテラでは地域取引が74%アップするなど、モバイルは経済発展に大きく寄与しているという。ベルテラでは周辺のコミュニティーもあわせて約1万6000人以上の人々が音声とデータ通信を利用しており、ブロガーも生まれた。長年会っていないという親戚が数十年ぶりに話をしたなどの例のほか、知識や教育への関心が高まり、遠隔教育を利用してスキルを身につけようという人が出てきていることがアンケートからわかったと報告している。

 モバイル通信のメリットは人によりさまざまだが、これらの地域の人々にとってモバイルは単なる通信や利便性以上の意味を持つ。教育や健康の改善、地元経済の発展――アマゾン川流域の人々にとってモバイル通信は、生活水準アップになくてはならない技術になりつつある。

http://ascii.jp/elem/000/000/755/755363/